作品名: (秘)色情めす市場(日本)
制作年:1974年
評価項目、各項目の最高は5つ星
1.人間や社会に対する追及の深さ ☆☆
2.時間的、歴史的壮大さ ☆☆
3.地域を超える力、世界的壮大さ ☆☆
4.アイデアの独創性 ☆☆☆
5.新しい見方の提示 ☆☆☆
6.映像上の美しさ、すばらしさ、または独自性 ☆☆☆
7.キャスティングの妙味と役者の演技力 ☆☆☆
8.シナリオの整合性や見せる順番の適切さ ☆☆☆
【合計星数】 21
【寸評】
日活のロマンポルノ映画のようだ。ポルノ映画を見たいと思って、劇場に入った人間は、この映画を見て、だまされたと思うにちがいない。全編がセックスシーンばかりだが、ほとんどが目を覆いたくなるようなものばかりで、吐き気さえ催す男性もいるだろう。通天閣が見下ろす夏の釜ヶ崎。トメは売春を斡旋する小料理屋の女将と喧嘩別れしフリーの売春婦になる。同じく売春をする母のよね(花柳幻舟)と知能障害をもつ弟の実夫との3人暮らしだ。トメを中心に話は進むが、監督の目はあくまで冷徹だ。リアリズムの極地かもしれない。リアリズムが描こうとする現実が、厳しければ厳しいほど、単なるリアリズムを突き抜け、シュルリアリズムとなる。余りにもシュールすぎて、この世界についていけない人が多いだろう。私も、そのうちの一人かもしれない。映画技法的にも、いろいろなことが映像上試みられている。冒頭では、素人カメラマンかと思われるような、あちこちちらつく映像。後半の一部にカラーを配した手法。大阪、関西弁、演歌、通天閣などが混然と、しかしすべてがうまくかみあい異次元の世界を現出している。そして、重要なことは、この世界は映画でしか表現できなさそうだということだ。最後に指摘したいのは、こんなシュールな映画が創られたのが、アングラ演劇などが盛んだった1970年代前半だという点である。あの時代は、こういうものを生み出すエネルギーをもっていたし、たとえ一部にせよ、こういうものを絶賛する人々がいたのである。
合計星数(2019年4月12日に下記の評価を修正)
12以下 駄作
14~16 一般的な並みの作品
18以上 秀作、話題作
24以上 優良作品
29以上 最優秀作品
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