Search This Blog

Monday, December 2, 2019

(秘)色情めす市場(日本、1974)21点


作品名: (秘)色情めす市場(日本)

制作年:1974年



評価項目、各項目の最高は5つ星

1.人間や社会に対する追及の深さ ☆☆

2.時間的、歴史的壮大さ ☆☆

3.地域を超える力、世界的壮大さ ☆☆

4.アイデアの独創性 ☆☆☆

5.新しい見方の提示 ☆☆☆

6.映像上の美しさ、すばらしさ、または独自性 ☆☆☆

7.キャスティングの妙味と役者の演技力 ☆☆☆

8.シナリオの整合性や見せる順番の適切さ ☆☆☆



【合計星数】 21



【寸評】
日活のロマンポルノ映画のようだ。ポルノ映画を見たいと思って、劇場に入った人間は、この映画を見て、だまされたと思うにちがいない。全編がセックスシーンばかりだが、ほとんどが目を覆いたくなるようなものばかりで、吐き気さえ催す男性もいるだろう。通天閣が見下ろす夏の釜ヶ崎。トメは売春を斡旋する小料理屋の女将と喧嘩別れしフリーの売春婦になる。同じく売春をする母のよね(花柳幻舟)と知能障害をもつ弟の実夫との3人暮らしだ。トメを中心に話は進むが、監督の目はあくまで冷徹だ。リアリズムの極地かもしれない。リアリズムが描こうとする現実が、厳しければ厳しいほど、単なるリアリズムを突き抜け、シュルリアリズムとなる。余りにもシュールすぎて、この世界についていけない人が多いだろう。私も、そのうちの一人かもしれない。映画技法的にも、いろいろなことが映像上試みられている。冒頭では、素人カメラマンかと思われるような、あちこちちらつく映像。後半の一部にカラーを配した手法。大阪、関西弁、演歌、通天閣などが混然と、しかしすべてがうまくかみあい異次元の世界を現出している。そして、重要なことは、この世界は映画でしか表現できなさそうだということだ。最後に指摘したいのは、こんなシュールな映画が創られたのが、アングラ演劇などが盛んだった1970年代前半だという点である。あの時代は、こういうものを生み出すエネルギーをもっていたし、たとえ一部にせよ、こういうものを絶賛する人々がいたのである。  

合計星数(2019412日に下記の評価を修正)

12以下 駄作

14~16  一般的な並みの作品

18以上 秀作、話題作

24以上 優良作品

29以上 最優秀作品




No comments:

Post a Comment

妻の秘蜜―夕暮れてなお―(日本、2016)10点

作品名: 妻の秘蜜―夕暮れてなお― (日本) 制作年:2016年 評価項目、各項目の最高は5つ星 1.人間や社会に対する追及の深さ  ☆ 2.時間的、歴史的壮大さ  ☆ 3.地域を超える力、世界的壮大さ  ☆ 4.アイデアの独創性  ☆☆ 5.新しい見...