作品名:なつかしの庭 (韓国)
制作年:2006年
各項目、5つ☆が最高(2019年4月21日、評価内容を微修正)
1.人間や社会に対する追及の深さ ☆☆☆
2.時間的、歴史的壮大さ ☆☆
3.地域を超える力、世界的広大さ ☆☆
4.アイデアの独創性 ☆☆☆
5.新しい見方の提示 ☆☆
6.映像上(音楽を含む)の美しさ、すばらしさ、独自性 ☆☆☆
7.キャスティングの妙味と役者の演技力 ☆☆
8.シナリオの整合性や見せる順番の適切さ ☆☆☆
【合計星数】 20
【寸評】
最近、3本の韓国映画を見た。3本とも社会派の映画だ。韓国にもこんな社会派の立派な映画があることを知って、うれしい。この映画は、主人公が監獄で20年余過ごした出所の場面から始まる。主人公は、1980年の光州事件を主導した若き社会主義者の一人である。ただし、後半は彼をかくまった女性に話はシフトする。残忍な事件と監獄での拷問の過去、それに出所後の現在が繊細でか細い糸で織りなされ、一つの絵が描き出される。それは幻想と現実の交錯でもある。東大の安田講堂での攻防を思わせる学生と韓国軍の残虐非道な攻防の場面もあるが、全体としては情緒的で抒情詩的である。捨てきれない、そして捨てたくない純粋な過去へのせつない思いは、韓国のいなかの景色に表現され、タイトルのようにおだやかである。天候の異変も、映画の常道ではあるが、うまく利用され、主人公たちの思いを伝えている。その映画の抒情性をもって批判する人も多いだろう。しかし、安保闘争の記憶が今も鮮明に残る私などにとって、この映画は甘酸っぱくほろ苦く、ゆっくり目をつむりこころで泣きたくなる。
合計星数(2019年4月20日に下記の評価を修正)
8 最低
12以下 駄作
14~16 一般的な並みの作品
18以上 秀作、話題作
23以上 優良作品
29以上 最優秀作品
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